Finland Travel Diary

フィンランドとその周辺旅行記

フィンランドを感じる-建築編Ⅱ

グッドシェパード教会

フィンランドを代表する建築家の一人にユハ・レイヴィスカが挙げられる。彼の設計したミュールマキ教会はガイドブックにも掲載されるほど有名だが、現在は生憎長い改修期間に入っており見学することができない。ミュールマキ教会と同じく、彼が設計したグッドシェパード教会も光が美しい教会で、ミュールマキ教会と比較すると様々な種類の光の表現を見ることができる。

赤れんが色の床と真っ白な壁が印象的で、幾重にも重なるスリットから陽の光が入る。スリットの間には透明のキューブが積み重なっていて、乱反射した光がスリットを照らしているところもあれば、スリットの背面に色のついたパネルを入れてその色がスリットを照らしているところもあり、白樺の森の中を思わせるような工夫が可愛らしくて面白い。それらを背景にたくさんのペンダント照明が空中を浮遊していて、昼間でも幻想的な雰囲気が漂っていた。私は曇り空の日に訪れたが、天気が良ければまた違った表情をするだろう。屋内にいても光の恵みを感じられるフィンランドらしい教会だと思う。

 

ミュールマキ教会

私がフィンランドという国をきちんと認識し、フィンランドに死ぬまでに行きたいと思ったきっかけがミュールマキ教会の写真だった。大学の図書館でたまたま見つけた本にミュールマキ教会が紹介されており、その美しさに衝撃を受けたのを今でも覚えている。現在は見学ができないが、まだ見学が出来た頃に訪れることが出来た。

写真で見る以上に実際は天井が高く、静かな美しさがある。訪れた時は子供達が寸劇か何かの練習をしていて、パイプオルガンが鳴り響いていた。一緒に見学していた知人が綺麗すぎると言って泣き始めて、その時のことを今思い出しても胸がいっぱいになってしまう。生憎写真をあまり撮れなかったが、とても素敵な時間に訪れることが出来た。

 

私は中学高校とプロテスタントの学校だったので、学校の中に礼拝堂があり教会を訪れた事も何度もあったけれど、美しさを感じても神聖さのようなものをあまり感じた事がなかった。それは日本のジメジメとした湿気や、強烈な太陽の光のせいもあると思う。乾いた空気の中パイプオルガンの鳴り響くミュールマキ教会で子供達が集まっているのを眺めていた時、窓の外の青空から光が差し込んでいるのを見た時、私は初めて神聖とはこういうことかと思った。私たちはネットを通じて色々な場所を見て知り、体験し、感じることができるようになったけれど、その場所に行かないとわかり得ないことがある、ミュールマキ教会はそういうことを教えてくれた。

 

 

グッドシェパード教会(Hyvän Paimenen kirkko)

ヘルシンキ中央駅から67番バス、Vedakärrsvägen下車/2019.8訪問

※グッドシェパードは英語名のようなので、Hyvän Paimenen kirkkoで検索することをおすすめします